1789年7月17日、マリー・アントワネットは、おそらく初めて間近でコカルド(三色の帽章)を見ました。
この日は、ルイ16世が国民議会の要求を受け入れ、パリを訪問したのです。国王は帰れないことを覚悟し、ヴェルサイユを発つ前に、弟のプロヴァンス伯爵(後のルイ18世)を国王代理官に任命しています。
国民の良き国王であることを願っていたルイ16世は、この日、突きつけられた要求を拒否することはありませんでした。それが、王室や王党派をさらなる困難に陥れると分るのは、もう少し後のことになります。
共和国のシンボル、コカルドを身につけて帰った国王に、アントワネットは「わたくし、平民と結婚したとは存じませんでした」と言ったそうです。
ルイ16世が戻るまで不安におののき、国王が拘束された場合に備えて、議会での演説原稿まで用意していたアントワネットですが、生来のプライドの高さが言わせた言葉でしょう。
アントワネットは、無事に帰った国王に駆け寄り、泣きながら抱きしめたと伝えられています。
宝塚歌劇団2017年雪組公演『ひかりふる路 ~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~』衣装展示より
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