王妃のブレスレット

マリー・アントワネットが1776年に購入したブレスレットが、オークションに出品されます。
これは首飾り事件で知られ宝石商「BOEHMER ET BASSENGE」から購入したもので、革命勃発後に甥のオーストリア皇帝フランツ1世に預けられた、宝石の一つだそうです。

分散してフランス国外に持ち出されたマリー・アントワネットの宝石類は、娘のマリー・テレーズに受け継がれました。
このブレスレットも、マリー・テレーズが身につけたものです。



タンプル塔から人質交換でウィーンに送られたマリー・テレーズは、母方の従兄オーストリア大公カールとの縁談を断り、父方の従兄アングレーム公ルイ・アントワーヌと結婚します。
ナポレオン帝政期は、叔父プロヴァンス伯、義父アルトワ伯等と厳しい亡命生活を送りました。

王政復古でフランスに帰国した後、マリー・テレーズは旧いしきたりを復活させたり、革命で命を落とした旧貴族の遺族だけの夜会を催したりしました。

幸福だった少女時代への追想か、革命派への復讐か、彼女の胸の内は複雑だったでしょう。

ルイ18世の崩御でシャルル10世が即位しましたが、あまりの旧体制に市民の不満が高まり、七月革命が勃発。
マリー,テレーズは再びフランツ1世を頼り、亡命することになります。
プラハ、モラヴィア、ゴリツィアを転々とし、1851年にウィーン郊外で生涯を終えました。

絢爛豪華なヴェルサイユに生を受けた流転の王女の最後は、静かな祈りの日々でした。



0コメント

  • 1000 / 1000