110年の物語

今日は「マンガで読む18世紀 貴族編」第3回
取り上げたのは『ベルサイユのばら』の外伝とエピソード編です。
中でも連載終了後すぐに発表された「黒衣の伯爵夫人」は、コミックの10巻で知られていると思います。この作品は1787〜8年頃、黒い騎士がパリで話題になっている頃が舞台。
1984〜5年まで月刊Jamに連載された後、コミック上下巻で発売された「ル・ルーと一緒に来た人形」「ジャルジェ将軍の息子あらわる⁈」「トルコの海賊と修道女」「悪魔のくすり」も、1787〜8年頃となります。「悪魔のくすり」後編は、雑誌では未発表でした。
外伝シリーズの面白さは、16〜17世紀に実際に起きた事件や、18世紀のフランスの外交関係、貴族と王族の特権が読み取れることでしょう。

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「黒衣の伯爵夫人」は16世紀のハンガリーに実在したエリザベート・バートリの事件がベースになっています。以前、ジュリー・デルピーが監督・脚本・主演を務めた2009年の映画「血の伯爵夫人」を見ようとしたのですが、不気味すぎて開始10分ほどで挫折。未だに見ていません。

10年後の外伝は、オスカルの姪ル・ルーの活躍で事件が解決するので、ややコミカルに進みますが、内容はいたってシリアスな事件ばかり。
アントワネット様の宝石を模造とすり替えさせる泥棒夫妻。ジャルジェ将軍の婚外子かもしれない少年の登場で、軍人として生きるオスカルの揺れる心。身寄りのない少女たちを人身売買の犠牲にして、オスマン帝国と密貿易をする王族に女性。ルイ14世の愛妾モンテスパン夫人失脚の原因になった、17世紀の黒魔術師ラ・ヴォワザンの事件を題材にした阿片と黒魔術師。
どの事件も本編のオスカルとは違う、軍人としての面が描かれた作品です。

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2013年から2017年にかけてマーガレットに掲載されたエピソード編は、9話、全4巻。
本編の登場人物にまつわるエピソードで、ロレーヌ公国の譲渡に関わるフランスの密使の恋に始まり、オスカル=フランソワの名前の由来。
革命前夜から革命を経て、スウェーデンのオスカル1世即位、そしてロザリー・ラモリエールの死まで、約110年に渡る物語が紡がれています。
今回は、エピソード編を時系列に並べて、どのようにフランスが姿を変えて行ったかを見ていきました。

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センターのある横浜そごうは、すっかりクリスマス🎄


次回は「マリー・ベル」「ラ・セーヌの星」を取り上げ、架空のヒーローとヒロインをテーマに進めます。




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