ラ・フォンテーヌ寓話

イラストの可愛らしさに惹かれて手に取った「ラ・フォンテーヌ寓話」(ラ・フォンテーヌ著 ブーテ・ド・モンヴェル画 大澤千加訳 ロクリン社)



今日でも知られている寓話26篇が収められています。
帯によると、ルイ14世の王子に捧げられた寓話集。

翻訳の小澤千加さんによるあとがきに、ヴォー・ル・ヴィコント城の土産物売り場で見つけたとありました。
ヴォー・ル・ヴィコント城というと、ルイ14世の大蔵卿を務めたニコラ・フーケの城。フーケはラ・フォンテーヌをはじめとした文学者や芸術家を擁護し、美術の蒐集家としても際立った感性の持ち主でした。ヴォー・ル・ヴィコント城はフーケが贅を尽くして建設した城です。
しかし、その権力と財力でルイ14世の不興を買い、華麗なヴォー・ル・ヴィコント城のお披露目から僅か3週間後に失脚しました。
城の建設に関わったルイ・ル・ヴォー、アンドレ・ル・ノートル、シャルル・ルブランは、後にヴェルサイユ宮殿の建設に関わることになります。

私がフーケを知ったのは、アレクサンドル・デュマの「ダルタニャン物語」(鈴木力衛訳 講談社 全11巻)でした。あまりの面白さに、最後まで一気に読み終えた作品。
一時、絶版になっていましたが、復刊ドットコムで新装版が出たようです。

「ダルタニャン物語」にも描かれているように、フーケはダルタニャンに逮捕されます。

フーケの失脚は"驕れるものは久しからず“とも思えますが、ルイ14世の王子に捧げられた「ラ・フォンテーヌ寓話」ここに描かれた"常に強いものの理屈がまかり通る“、"自分より小者の力が必要なこともある“などの教えを、王はどのように考えたのでしょう。


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