虚像で語られるマリー=アントワネット

11月9日に開催されるクリスティーズのオークションに、以前このブログにも記した、マリー=アントワネットが残したブレスレットが出品されるニュースが、昨日は様々なメディアで取り上げられていました。

王妃マリー=アントワネットからマリー=テレーズ内親王へ、さらに欧州の王室へ旅したブレスレットは、どのような方に受け継がれていくのでしょう。



しかし、ブレスレットの行方より気になったのは、マリー=アントワネットが未だに虚像で語られていることです。



このニュースでは、タイトルの通り「”パンがなければケーキを食べればいいじゃない”でお馴染み、フランス国王ルイ16世の妻マリー=アントワネット」と紹介されていました。

この言葉がマリー=アントワネットが発したものではないと、今では一般に広く知られています。

これは、ジャン=ジャック・ルソーの著書「告白」に登場する"ある高貴な夫人"の逸話が元で、この貴婦人が誰かは特定されていませんが、15世紀のイタリアの貴婦人、ルイ15世の王女マダム・ヴィクトワールなどが挙げられていて、いずれも確証はありません。

アントワネットの言葉という記述があるのは19世紀に入ってから雑誌に書かれていたこと。

18世紀末に作られた、悪意に満ちたマリー=アントワネット像が、21世紀の日本のメディアで語られるとは、当時の人々の想像にもなかったことでしょう。



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