2021.08.29 03:00『ベルサイユのばら』初演の日1974年8月29日、宝塚大劇場で『ベルサイユのばら』初演の幕が上がりました。宝塚歌劇団月組による初演は、オスカルが榛名由梨さん、アンドレは麻生薫さん、アントワネットは初風諄さん、フェルゼンは大滝子さん。この時は1幕もので、「秋扇抄」との併演です。原作が少女漫画、さらに男役が主演を務める宝塚で、主人公が二人とも女性。男装の麗人オスカルは女性でありながら戦死、王妃アントワネットは不倫という宝塚らしからぬ物語に最初は難色を示されたようですが、「ベルばらブーム」という言葉が一人歩きするほどのヒット作になりました。11月2日からは東京宝塚劇場での開幕で「ザ・スター」との併演。それまで『ベルサイユのばら』という漫画を知らなかった方にも、宝塚歌劇に興味がなかった方...
2021.08.26 01:00アンドレ・グランディエの誕生日1754年8月26日は『ベルサイユのばら』の登場人物アンドレ・グランディエの誕生日です。架空の人物ではありますが、アンドレ・グランディエが生きたのは革命前夜のフランス。オスカルへの愛ゆえに身分の差で苦悩するアンドレですが、革命への強い意志を語る事はありません。原作では失明の危機に瀕し、心の内で「同じ人間なのにな・・・」と呟く場面があるのみ。アンドレは1789年7月13日、テュイルリー宮殿前広場でオスカルを庇って命を落としますが、その年の8月26日、人間と市民の権利の宣言(人権宣言)が憲法制定国民議会で採択されました。アンドレ・グランディエの誕生日が8月26日とされているのは、身分の差を超えて結ばれたオスカル=フランソワ・ド・ジャルジェとアンドレ・グラン...
2021.08.23 09:30第4回 マリー=ルイーズ明日からマリー=ルイーズの人生を見ていきます。ナポレオンの二人目の皇妃ですが、マリー=ルイーズと長子のライヒシュタット公爵ナポレオン=フランソワには馴染みがない方も多いと思います。2014年の宝塚歌劇団星組公演『眠らない男・ナポレオン —愛と栄光の涯(はて)に—』では、ライヒシュタット公爵ナポレオン=フランソワにマルモン元帥がナポレオンのことを語ることから始まりました。
2021.08.23 01:30ルイ=オーギュストの誕生1754年8月23日、ベリー公ルイ=オーギュストが誕生した時、後にルイ16世となり、ブルボン朝の幕を一時下ろすことになるとは誰も想像しなかったでしょう。周囲の期待を集めた兄ルイ=ジョセフが亡くなり、父のルイ=フェルディナン王太子が亡くなり、祖父ルイ15世の後継者となったとき、ルイ=オーギュストは11歳。帝王学も学んでいない少年です。ルイ=オーギュストは賢い少年ですが、内気で人見知り、ダンスが苦手でウィットに富んだお洒落な会話が苦手。話しかけられるとよく考えてから答えるので、華麗なヴェルサイユでは愚鈍な人間と誤解されてしまいます。ルイ16世として即位した後も、若い頃はマリー=アントワネットにも「あの可哀想な人」といわれたルイ=オーギュスト。1歳しか違いま...
2021.08.15 02:30マリー=ルイーズとナポレオン8月15日はナポレオン・ボナパルトの誕生日。1769年にコルシカ島で誕生したナポレオン・ボナパルには二人目の皇后がいました。それがハプスブルク家の皇女マリー=ルイーズです。マリー=ルイーズは、フランス王妃マリー=アントワネットの大姪(甥の娘)にあたります。マリー=ルイーズの父は神聖ローマ皇帝フランツ2世(後にオーストリア皇帝フランツ1世)。アントワネットの兄レオポルト2世の長子です。後継者を望み、皇后ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネと離婚したナポレオンから結婚の打診があったとき、ハプスブルク家でマリー=アントワネットの運命を思わなかった人はいないでしょう。フランス革命戦争~ナポレオン戦争で、2度もウィーンから避難した経験のあるマリー=ルイーズです。しかも神...
2021.08.05 00:25花束の鍵1774年の初夏。「貴女は花が好きだという。私は貴女にブーケを贈ることができます」そう言ってルイ16世がマリー=アントワネットに贈ったのは、531個のダイアモンドで装飾された美しい鍵です。この時、プティ・トリアノンはアントワネットのものになりました。ヴェルサイユでは「国王の名の下に」下される命令は、この小さな美しい城では「王妃の名の下に」下されるようになります。気の置けない友人と過ごし、好きな劇を演じ、音楽を楽しみ、夢の村里を散歩するアントワネット。愛する子供たちを抱く喜び。格式張ったローブ・ア・ラ・フランセーズではなく、ローブ・ア・ラ・レーヌと呼ばれた簡素なドレスに身を包み、麦藁帽子を被ったアントワネットは、この場所でフランス王妃から一人の女性に戻れ...